第6章 大切な人
スマホの上にポタポタ落ちる涙の滴と
肩に触れる温かい手の感触に
顔を上げると…
そこには
丸山さんが立っていて
「あん…………」
そう私を呼ぶ声も
私を見つめるその目も
温かい手の感触も
一年前と何一つ変わっていなかった…
「私……すばるに…
振られちゃいました(笑)
いつまでも私が丸山さんを
忘れられなかったせいで……
あんなにも…
私を大切にして愛してくれたのに…
私がすばるを幸せにするって
約束したのに…
結局私がしたことは…
すばるを傷付けただけ…
だったのかもしれません………」
そんな言葉と一緒に
拭いても吹いても溢れてくる涙を
手で拭いながら
丸山さんは
私の知らなかったすばるの決意を
ポツリポツリと話し始める…
「それはちゃうよ……?
すばるくんな…?
あんとおる一年すごく幸せそうやった…
あんがすばるくんを選んだ
1年前のあの時も
次の日俺に
"丸…ごめんな…?
やけど俺…幸せやわ(笑)"って
謝りながら
すごい嬉しそうに笑ってたもん(笑)
でもな…?
たまにすごく辛そうな顔してる時があって
その時はよく分からんかったけど
"ええ加減…
オレンジ色が嫌いになりそうやわ(笑)!"
なんて冗談目かして言うてたことも
あったかな……(笑)
それで今日な………………?」