第5章 守るべきものは……?
あんside
"もう黙れ…"
そう言って私の唇に
すばるくんの唇が重なって
触れた唇から
すばるくんの優しさが
流れ込んでくるのが
痛いほどに解って…………
優しくて…
いたくて…
切なくて…
余計に涙が溢れてきた……
重なっていた唇がゆっくりと離れて
涙でぐちゃぐちゃな私の顔を見て
"相変わらず不細工やな(笑)?"
なんて笑いながら服の袖で
私の涙を拭ってくれるすばるくんに…
「そんなに…
優しくしないで下さいよ……?
私は…私が大嫌い…です……
汚くて…ずるくて…弱い…
こんな私は…いらない………」
そう呟いて
背中を向けると
「お前がいらんなら…俺がもらう……。
汚いお前も…ずるいお前も…
弱いお前も…
俺に全部ちょうだい(笑)?」
そんな言葉と一緒に
温かい腕が私を包み込む………
「すばるくんって…
ほんと…ドMですね……(笑)」
そう言って私を抱きしめる
すばるくんの腕に顔を埋めると…
「当たり前やんか(笑)
傷付くんなんか怖ないもん…
ちょっと痛いぐらいやないと
現実味がないやろ…?
痛みがあるから甘味がよけいに染みる…
人を好きになるって
そういうもんや(笑)」
そう言ってすばるくんは
私の頭をくしゃくしゃと優しく撫でた………