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オレンジ

第4章 罪の代償


かなside

最初はほんの小さな不安だった…。


私の誕生日の日

突然私が連れてきたあんを見た瞬間


隆平の目がゆらゆらと揺れていて


その目がなぜか無性に怖くて



隆平の目に

あんを映したくない


そう思ったのが最初だった…




きっと私の考え過ぎで

本当は二人の間には

なんの感情もないんだ



そう思いたかったのに


必死にもがいて

見て見ぬふりを続けて


気付いた時には

隆平のあんを見る目は

愛しい人を見る目に変わっていたんだ……



隆平が出ていって一人のベッドの中


嫌でも考えてしまうんだ…



私に触れたあの手で

あんに触れたんだと…


私に触れた唇で

あんの唇に触れたんだと…



想像するだけで

胸が引き裂かれたみたいで


今にも叫び出しそうになってしまう…




枕に顔を押し付け

溢れてくる涙と声を必死に抑えていると



ベッドに置かれていたスマホが

ブルブルと振動を伝える…



ゆっくりとスマホを引き寄せ

光る画面に目を落とすと



あんからのメールが一件………



まだ溢れてくる涙を拭い

メールを開くとそこには



『かなさん…本当にごめんなさい。

何度謝っても許されない罪を

私は犯しました。

かなさんに約束します。

もう二度と丸山さんには会いません。』




そんな内容が書かれていた。



ほんとあんらしい………(笑)



いつもならそう言って笑えるのに




でも……


今はそんなあんの真面目さや優しさに


ひどく腹が立つ……。




もっとあんが自分勝手なら

私はあんを心から憎むことが

出来るのに…




その優しさや

真っ直ぐすぎるほどの真っ直ぐさが



時にどれほど人を傷つけているか


あんはきっと気付いてさえ


いなんいんだ……………
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