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オレンジ

第3章 捨てられない感情


あんside

子供みたいに…



今日初めて会った人の胸で

泣いてしまったことが恥ずかしくて…


支払いを済ませ店を出たあと


"すいませんでした…"

そう言って

足早に逃げ出そうとした私の手を捕まえて



「あほかお前は!

何一人で帰ろうとしてんの(笑)?

いくら泣きすぎて不細工になってても

一応女なんやから…

家までぐらい送りますよ?」


なんてある意味失礼な言葉を並べ

私の手を握ったまま渋谷さんは歩き出す…



「何か渋谷さんて…

優しいくせに表現が不器用ですよね(笑)?」



引かれる手について歩きながら

私がそうポツリと呟くと…



「余計なお世話じゃボケ!

でも…不器用さ加減は

お前とええ勝負やろ(笑)?」


なんて少し照れ臭そうに笑う……



そんな渋谷さんの


優しくない言葉も

きつく繋がれた手も



傷んでぼろぼろの私の心を

やんわりと優しく包み込んでくれた…
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