第2章 熱い手
あんside
かなさんから誘われるままに
断る理由を見つけられなくて
3人でご飯に行く約束をしたものの…
これで本当に
良かったんだろうか………?
あの日私は…
公園で私の手を掴む丸山さんの手を
振り払った…
それは…
驚いたからとかそんな理由ではなくて
丸山さんの手が
ひどく温かかったから……
本当はあの時
知らない男の人に絡まれ
腕を捕まれ
怖くて仕方なかったんだ…
でも誰も助けてなんてくれない状況で
泣き言なんていってる場合じゃない…
自分を守れるのは
自分だけなんだ…
そう必死に言い聞かせ
足を踏ん張っていたのに…
誰も助けてなんてくれないはずの場所に
丸山さんは現れて
助けてくれた後も
素直にありがとうの言葉も言えない私に
"怖くないわけないよね?"
なんて優しく笑う丸山さんに
自分の気持ちを見透かされたような
気がして落ち着かなくてその場から
早く逃げ出したかった…
だからベンチから立ち上がり
早く帰ろうとしたのに
丸山さんが私の腕を掴むから
気付いてしまったんだ
丸山さんの手がとても温かいことに…
そしてその手から流れ込む熱が
身体中に伝染して
ドキドキと胸が煩く騒ぎだして
頬が熱を帯びてしまってることに…
だから私は急いで丸山さんに背中を向け
その場から逃げ出した…
こんな自分を見られたくなかったから……