第6章 大切な人
あんside
丸山さんと会わなくなってからも
どうしても…
外すことが出来なかった指輪に
何も言わなかったけど
やっぱりすばるは気付いてたんだ…
きっと私も心のどこかで
ずっと何も言わず
側にいてくれるすばるに
甘え続けてた……
「やっぱり私は…
すばるを傷付けてたんですね……(笑)」
「たとえそうやったとしても…
俺はすばるくんは
嬉しかったんやと思うな…
あんがあの時
すばるくんを選んだこと……。
今までいろんなことがあったけど…
ここからちゃんと
二人で始めへん………?
いろんなさ…
苦しいこととか…悲しいこととか
経験したけど
だからこそ
ちゃんとその痛みに逃げずに向き合って
俺はあんと二人でこの先の未来を
歩いていきたい……」
そう言って
私の手を握る丸山さんの手は
とても優しくて温かくて……
「いいのかな……?
この手を取っても
本当にいいのかな…………?」
そう言って
握られた手を見つめる私に
「うん…もう自分の気持ちを
見ないふりして
逃げるのはやめよ…?
だって俺は一年前も今も…
ずっと変わらず
あんを
愛してるから……
だからあんも気持ちに素直になって…?
すばるくんのためにも…
なにより自分自身のために…………」
丸山さんは優しく
でも力強くそう言って
笑いかけてくれた…………