いい子悪い子、愛しい子 番外編 《ハイキュー!!》
第4章 四つ葉のクローバー
「…夜琉」
『はい?』
「夜琉は、俺のこと好きか?」
『もちろんです!!』
「ホントに?ホントならさ…あいつらと縁切れよ」
『えっ…』
言ってしまった・・・
一番言っちゃいけないことを・・・
こいつにやっとできた家族、2番じゃなくて1番に大事にしてくれる親・・・なのに俺は・・・
「いや、悪い…そういうんじゃなくて…」
『…黒尾さん、あたしは…』
ガチャ!「ただいまー!!」
『えっ!?…及川さッ』
「夜琉ちゃん、ごめーん帰って来ちゃった。でもひどいよ。今日は絶対に帰ってこないでって言うんだか…」
勢いよくリビングに入ってきたのは、及川だった
全然酔っていないところを見ると、飯食ってそのまま帰ってきたのだと分かる。
どうしてこの男は・・・
こう空気の読めないタイミングで現れるんだよ
夜琉が困ったように俺と及川を交互に見ている
「えぇ!?今日2人でやってたの?ずるいクロ君!!俺の夜琉ちゃんとクリスマスやりたかった!!あっ、ねえ3人で飲み直そうよ。…って!俺の秘蔵のワイン空いてるし!!」
3人で・・・?
ふざけるなよ、今日は俺と夜琉と2人でパーティするはずだったのに邪魔すんじゃねえよ
夜琉も、なんでこいつを追い出さねえんだよ。俺が好きなら、こいつを追い出せよ・・・ッ!!
「夜琉ちゃん、お皿出してー」
『あっ…あの、及川さ…』
夜琉は、こいつをどうしようか考えてるようだった
多分、これが実の兄だったら追い出している。「お兄ちゃん邪魔しないで!!」と言えるはずなのに、実の兄じゃないからそれが言えないんだ
それが分かった時、俺は無意識に立ち上がっていた
『あっ、黒尾さ…』
「悪い、俺帰るわ」
『えっ!?…黒尾さんッ!!』
夜琉の声も聞かずに俺は家から出て行った
足早に自分の家に帰っていくが、すごく足が重かった
足を止めた時、自分のしたことをすげえ後悔した
夜琉は、とても優しいんだ
俺のことも、及川のことも、岩泉のことも・・・みんな大事なんだ。誰かを切ることも誰かを特別に扱うこともあいつにはできないんだ・・・
なのに・・・俺は・・・