第2章 変わるために

「おねがい夜琉ちゃん!!明日俺に付き合って!!!」


『・・・え？』


及川さんが逮捕されて1年ちょっと
さらに及川さんが釈放されて5日ちょっと

今及川さんは、あたしと岩泉さんと同棲している
釈放されてすぐ「岩泉さんに1人暮らししろ」と言われたけど、俺もう1人ヤダ!!とあたしと岩泉さんに泣きついたのだ

それで、今は成り行きで一緒に暮らしている
今も夕飯の準備をしている真っ最中だ

あたしがテーブルに食器を並べて、岩泉さんが料理の準備をしていた時
久々の及川さんの主語のない口説き文句が飛んできた


「テンメェ…性懲りもなく夜琉に何するつもりだ？ゴルァ」


岩泉さんが今までになくお怒りモードだ
でも岩泉さん、この1年の中で一番生き生きしているのも事実だ


「違う違う!!話を聞いて!!!」


『えっと…どういう風の吹き回しですか？』


セットすべき食器達を所定の位置に置いてからあたしは及川さんを見上げる

昔よりも痩せている及川さんだが、刑務所から出た時よりは顔色はいい。髪も前みたいにさらさらしている



「…明日、謝りに行きたいんだ。俺のためにいろいろしてくれた人に…迷惑かけた人に…。でも、1人で行くのはまだ怖いから…夜琉ちゃんについてきてもらいたくて…」



及川さんの言葉にあたしも岩泉さんも動きを止めた
及川さんがそんなことを言うとは思わなかったから

岩泉さんも、さっきまで蹴りを食らわせていたのにそれをやめて黙々と食事の支度をしている