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【100プリ】Wistarian Diva

第16章 Op.16 イブの晩餐



どうやらその日
海外から大御所のソウルシンガーが来訪しているらしく

ケイが招致した別の事務所と番組スタッフに交渉して
レオナの出演枠に特別出演することをとりつけたのだった。


「え…でもいいの?他の仕事とか入れなくて…」

「何言ってんですか!」

ケイがレオナの腕をがしっと掴む。



「レオナさん…レオナさんはもう十分すぎるくらい働いてるし稼いでます。年明けから約3カ月はウィスタリアにも戻れません……もうずっと休みもなく働いてるんです…だから」

ケイはまっすぐレオナを見つめた。


「以前の約束、ここで叶えていいですか?」


それは王宮の皆と会うことを意味していた。

レオナは胸が一気に熱くなり
同時に涙が込み上げてきた。


「ケイ……あ、りがとう…」

心なしかケイも少し涙ぐんでいる。


「本当はもっと休ませてあげたいんですが…」

「ううん、十分だよ」

レオナは自分の涙を指で拭った。


「…じゃあ、後でジル様に僕の方から連絡しておきますね」


レオナははにかみながら
大きくうなづいた。







*********


「レオ、失礼します、入りますよ」

レオの執務室にノックと同時に入ってきたのは
ジルだった。

「ジルどうしたの。ずいぶん急ぎのようだね」

レオは掛けていた眼鏡を外して
深刻な顔で飛び込んできたジルを見やった。


「レオ、イブに企画していた晩餐会の件ですが」

「あー俺出ないよ?その日は別の子とデートが…」

「……緊急事態です」

ジルはレオの執務机を両手でばん、と叩いてレオに迫った。


レオは息を飲んでジルを見つめる。


「……レオナが来ます」


「………!!!!」


レオは携帯電話を握りしめてがたっと立ち上った。
「…予定変更の連絡してくる」


そう言って部屋を出ていった。





「……他の者にも伝えなくては」

ジルは踵を返してレオの執務室を後にした。

そんなジルの顔は心なしか緩んでいた。



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