第15章 Op.15 アルバムリリース
王宮、談話室。
珍しく音楽が掛けられていて
それが廊下まで漏れている。
「…どなたですか、大きな音で音楽をかけて」
談話室の外からジルが叱責を飛ばす。
中に居たのは、レオとノアだった。
「あーごめんごめん…音、大きかった?」
レオはオーディオのボリュームを絞った。
「レオ、聴くなら御自分の執務室で楽しんだらどうですか?」
「あーごめんジルー、俺が頼んだの」
ノアがソファにねそべりながら答えた。
「ノアがレオナのアルバム聴きたいっていうから、俺も休憩したかったし、一緒に聴こうかなって」
「レオ、音楽ばかり聴いていないでちゃんと仕事して下さいね。年末は公務が立て込みますから」
お小言を残して去っていくジルとほぼ同時に
ユーリが紅茶を持って談話室に入ってきた。
「お二人とも、お待たせしました」
「あ、ユーリありがとー!レオナの歌にユーリの紅茶…最高の組み合わせ」
ノアは飛び起きて嬉しそうに笑った。
「ったく、ジルに小言言われたから、俺はもう少ししたら戻るよ。ノア、CD貸しとく」
「レオ様、気にしなくていいですよ」
ユーリはせせら笑いながらレオの紅茶をサーブする。
「……ジル様、レオナ様のCD、自分の部屋で掛けながらうたた寝してましたもん」
「え?それマジ?」
「しかもジル様、初回数量限定のボーナストラック入りバージョンでした」
「はぁー?!マジで?!」
レオは身を乗り出して反応する。
「なんでユーリそんなこと知ってんのー?」
出された紅茶を飲みながらノアは尋ねた。
「俺の情報網、あなどらないでください」
レオは首をひねる。
「それにしても、この俺も発売日に買いに行ってすでに売り切れだった初回特別盤、どうやって手に入れたんだろ…」
「それは俺が協力したから」
「え?」
一同が振り返るとそこには
シドがいた。
「シド、協力したってどういうこと?」
シドはせせら笑いながら、ソファにどかっと座る。
「あ?ただ依頼を受けたからこなしたまでだけど?」
「何だよそれ、俺の分も買ってよ」
「じゃあ俺に依頼すりゃよかったな」
シドはテーブルに置かれたレオのCDを手に取った。