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【100プリ】Wistarian Diva

第15章 Op.15 アルバムリリース



「お気に入りのバニラキャンディだそうです。直接渡したかった、と言っていましたよ」


「……ルイが…」


しばしキャンディの瓶を眺めていたレオナを
ジルは優しく笑みながら見守る。


「…お忙しいとは存じますが……」

「…あ」

はっとなってレオナは顔を上げる。


ジルは微笑みながらレオナの頭をそっと撫でた。



「クリスマスの頃には、一度王宮にいらして下さい…皆、貴女に会いたいと願っていますよ」

「……はい」

「いつでも、待っていますから」

ジルの優しさがふっと胸の中を温かくする。



「ジル様、王宮の皆様にもよろしくお伝えください。私も…皆さんに会いたいです」

ジルはにっこりほほ笑むと

「……では、お仕事の邪魔になってはいけませんから、私はこれで失礼しますね」


そう言ってスタジオを後にしていった。





*********


ケイが休憩時に持ってきてくれるのは

ジルが差し入れてくれた、ロベールさん特製ハーブティだ。

とても良い香りがして飲みやすい。
そして喉が本当に楽になる。



「王宮の皆さん、本当に優しいですね」

「うん…ありがたいよね」



ふっと微笑むレオナをケイは優しく見つめた。


「レオナさん、嬉しそうですね」


「……えっ?」


「王宮の皆さんに会いたいですか?」


「…うん、でも忙しいし…クロードにも王宮へ行くなって言われてるから…」


「え?何でですか?」

その本当の理由は言うことができず、レオナは曖昧に笑った。



「まぁ…王宮って居心地いいから…仕事にさし障るってことだよ」

ケイは、少し寂しげに笑うレオナの肩を掴んだ。


「え?」

「……レオナさん、任せて下さい。今すぐは無理ですけど、絶対何とかします。ワールドツアー前に必ず王宮に連れていきますから!」

「……ケイ…」

「クロードさん、忙しいから気付かれませんよ!大丈夫です!」



二人は顔を見合せてはにかんだ。

これは二人だけの、特別な
『秘密の約束』だった。



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