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【100プリ】Wistarian Diva

第15章 Op.15 アルバムリリース




ジャズアルバムのジャケットは
黒いイブニングドレスを着たレオナがベッドに寝そべって妖艶な眼差しを送っている写真だ。

シドは黙ってそのジャケットに目を落としている。



「そのレオナちゃん、色っぽいよね」

「確かに…すごくセクシーですよね」

レオの呟きにユーリも乗ってくる。


するとシドはふっと鼻で笑った。

「…レオ、特別限定盤のジャケ裏、知らねーのか?」

「え?」

「……セミヌードだぞ」




ガタンっっ



その場に居るシド以外の全員が立ちあがった。


「……俺ちょっとジルんとこ行ってくる」

「レオ待って、俺も行くー」

そう言ってレオとノアは一目散に談話室を後にした。



「シド…それ、本当?」

ユーリは目を細めてシドを見やる。


「あ?ウソに決まってんだろ」


シドは鼻で笑うと
再びジャケットに目を落とす。



曲目の中には

あの夜演奏した「Night And Day」も入っていた。

再生されていたCDが、ちょうどその曲に変わる。


「Night And Day...」


「ちっ……後ろのバンドがへたくそ過ぎる」

シドは舌打ちを一つすると、立ち上ってそのまま談話室を出て行ってしまった。



「…まったくもう……」

ユーリは苦笑いを浮かべると、CDを止めて紅茶を片づけ始めた。








*********


ルイの私室。

公務の終わったルイの部屋には
レオナのアルバムの曲がかかっている。


Cry Me A River

ジャズスタンダードだ。



静かに響くレオナの声が
耳元で優しく囁かれているような感覚に陥る。


ルイはベッドに身を投げ、そっと目を閉じた。


「Now you say you're lonely...」


あの日から
会っていない。


レオナの本当の気持ちも
クロードとのことも

結局わからないまま

時間だけが過ぎていき


彼女の歌うアルバムだけが
売り出され

連日テレビや雑誌越しに
彼女を見かける。




先日ジルが様子を見に行ってくれたが
忙しそうだったとのことだった。


「Cry me a river...cry me a river...」


静かに落ちていく意識の中で
レオナの声だけが響いていく。

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