第15章 Op.15 アルバムリリース
季節は徐々に秋に移り変わり
レオナのアルバムが2枚ほどリリースされた。
1枚はミュージカルセレクション。
2枚目はジャズスタンダードだ。
リリースのイベントをこなしながら
今は3枚目…クリスマスコレクションの収録を行っている。
賑やかなハロウィンが終わり
感謝祭が過ぎれば
城下もクリスマスで一色にそまる。
そのタイミングで3枚目をリリースすべく
レオナはほぼ毎日レコーディングスタジオにこもりっぱなしだった。
一方のクロードも
クリスマスは服飾業界も繁忙期に入るため
デザイン業、スタイリスト、海外への買い付けなど
忙しい毎日を送っていた。
ルイの所有する物件に引っ越した時に顔を合わせて以来
一度も会っていない。
手続きも結局クロードがしてしまったので
あの日以来、ルイにも会っていなかった。
「大丈夫ですか?レオナさん」
スタジオの外で休憩しているレオナに
ケイは飲み物を持ってきた。
ルイには会えていないが
実は数日前に突然王宮からの客人が来たのだ。
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「お約束もないのにお邪魔してしまい、申し訳ありません」
そう言って現れたのはジルだった。
「ジル様!どうされたんですか?」
こもっていたスタジオから出てきたレオナは驚き目を見開く。
ジルは白い紙袋を提げていた。
「これを…ぜひレオナさんに、と」
「あ、ありがとうございます…何かな…」
渡された紙袋は思ったよりも重たい。
「あ……」
瓶が3つ入っている。
1つはハーブティの葉が入っていた。
「それは王宮で飲まれているハーブティです。薬理学者のロベールに配合してもらった、喉に良いハーブが入っています」
「わぁ……ありがとうございます…これは?」
次の瓶には蜂蜜のようなものが入っている。
「しょうがと蜂蜜、オレンジを漬けたシロップです。アラン殿が喉が痛い時によく効く、と作って下さいましたよ」
「アランが…」
サバサバとそっけない態度のアランが自分のために作ってくれたと聞くと、何となくくすぐったい思いがした。
「これは…飴?」
「はい、それはルイが」
その名前を聞いて胸がどきりと音を立てた。