第11章 Op.11 真夏の夜の調べ・1
レオのヴァイオリンとアランのヴァイオリンは
旋律をお互いにキャッチボールしながら
時に寄り添いあい
時に離れ
なまめかしい響きで
情熱的に奏でていった。
「あの二人は子どもの頃から英才教育を受けてるから」
レオナの隣でいきなりしゃべり出したのは
ルイだった。
「えっ」
「…息もぴったり。さすが双子」
「………ええええ?!」
「しっ…声が大きいよ」
「あ、ごめん」
レオナは慌てて口元に手を当てる。
(確かに緋色の瞳が良く似てるけど)
全く正反対の性格をしている二人が
双子というのは
レオナにとって信じられないことだった。
「に、似てなくない?」
「そう?…俺は似てると思うけど」
ルイはふっと笑った。
「それより…」
ルイは後ろへと視線を促す。
後ろには
孤児院の子どもたちがスタンバイをしていた。
「あ、みんな…」
子どもたちはとても緊張しているようだった。
「大丈夫だよ、一緒に楽しく歌おうね」
レオナはしゃがんで子どもたちと目線を合わせる。
「レオナおねえちゃん、じょうずにできるかな」
「できるよ!みんな上手だもん」
「ほんと?」
「うん」
子どもたちの顔が徐々にほぐれていく。
その様子を見てルイが優しく笑った。
アランたちの演奏が終わり、舞台袖に戻ってくる。
アランは子どもたちに気付くと
「お前たち、頑張れよ。楽しみにしてる」
「あ、ボディガードのお兄ちゃんだ!」
「ほんとだ!」
さらに子どもたちに笑顔が戻った。
「楽しみにしてるね、レオナー」
「ちゃんと聴いてるからね」
レオとノアもレオナに声を掛ける。
レオナはうなづくと、ルイと目を合わせた。
「ルイ、よろしくね」
「…うん」
司会者のアナウンスの後に
レオナとルイ、そして孤児院の子どもたちが
舞台上に上がっていった。
Program 3
Solo vocal:レオナ
Piano:ルイ=ハワード
Chorus:孤児院の子どもたち
Gospel「Joyful Joyful」
時の人、レオナの登場に
会場からは一気に歓声があがった。