• テキストサイズ

【100プリ】Wistarian Diva

第10章 Op.10 スタジオリハ



*********

時刻は19時過ぎ。



事務所内のスタジオには
レオナとルイが午後からこもったままだった。

「ねぇ…ルイ、少し休憩しない?」

「……わかった」


ルイは楽譜を閉じると、防音扉を開けてスタジオの外へ出た。


後を追うレオナは、スタジオの外にあるベンチに掛けたルイの隣に座った。


「ルイって…タフだね」

「……そう?」

「うん…さすがに疲れた」



天井を仰ぎため息をついたレオナの顔を
ルイは突然覗き込む。

「えっ…」


「……ちゃんと、寝た?」

「は…?」


「…寝不足、かと思って」

ルイは目を細めて言った。


「えっと…けっこう寝たかな…」

本当はあまり寝ていない。
…というか、寝かせてもらえなかった。


「…これ」

するとルイは
レオナが首に巻いていたストールに指をかける。

「え?」

「……こんなの巻いて、暑くないの?」

「あ、それは…首冷やすと良くないから…」

「そう」

(ち、近い…)


ルイのアイスブルーの瞳は
更に冷たさを増した色でレオナを見つめた。


(ちょっと暑いけど…外せない)


「あのさ」

「?」


ルイは少し瞳を揺らし、躊躇いがちに口を開いた。


「どうして君は……クロードと一緒に住んでるの?」

「えっ……!」



改めてルイの口からそれを言葉にされると

まるでルイにクロードとの情事を覗かれているような
そんな気恥ずかしさに包まれた。



「…それは……」

レオナは俯いて言葉を探す。



「…クロードが好きなの?」

「えっ…?」


ルイの方を見ると
眉根を寄せて少し苦しげだった。



「……そういう契約なの」

「…契約?」

ルイは聞き返した。

レオナはうなづく。


「私、どこかに泊まるお金もなくて、家にも帰れなくて…というか帰りたくなくて…助けてもらって」


「だから…その代償に身体を?」

「え?」

レオナはどきりと胸を掴まれるような気がした。

(し、知ってるの…?ルイ…)

言葉に詰まるレオナに
ルイはため息をついた。


「…男女が同じ家に住んでるんだ、何もない方がおかしい」


「…」

(ルイ…きっと幻滅しただろうな…)


「君はそれでいいの?」


/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp