第5章 Op.5 再会の晩餐
「……え」
レオの顔が少しだけ青ざめる。
ジルはにこやかにレオナに向かう。
「レオナさん、クロードが何度かお電話をしたようですが」
「えっ?!」
慌てて鞄の中の携帯を見ると、確かにクロードからの着信が来ていた。
「あ…」
「ちょうど城下に用事がありましたので、見かけたら折り返し電話をするように伝えてほしいと伝言を預かりました」
「わ、わざわざすみません!」
「いえ、ついででしたから…いいのですよ」
ジルはそっと微笑む。
「……クロードの、パートナーねぇ…」
後ろで呟くレオに
「なんにせよ…日が落ちる前に貴方を彼女から引き離すことができて良かったです」
ジルは目を細めながらレオに言い放った。
「レオナさん、クロードの家までお送りしましょうか」
「あ、大丈夫です…食事してから帰るので…」
そう答えたレオナに、ジルとレオは顔を見合わせた。
するとジルが手を差し伸べる。
「よろしければ…王宮でお食事をしていかれませんか?」
「………ええええ??!!」
人のまばらな教会前の広場に
レオナの声がこだました。
「ま、結果的に車で拾ってもらえてラッキーだったかな」
レオナはレオと共に、ジルの乗ってきた王宮の公用車に乗せてもらった。
「…うん、そう……これから王宮に……はい」
クロードとの電話を終えたレオナにレオが言う。
「ねぇ…本当に、クロードとは仕事の関係だけなの?」
その言葉に、昨日の夜のことが思い出されるがそれを顔に出さないようにレオナは答える。
「うん…そもそも昨日会ったばかりだし…それなのに面倒見てもらえることになってちょっと助かってるんだ」
その言葉に一瞬だけジルの顔が曇ったが
すぐに元に戻る。
「そういえば、今日私もアップスターレコードの社長とお会いしましたよ」
「そうなんですか?」
「ええ。何でも、『夏の音楽祭』というイベントを主催されるとかで、王宮へ協力要請がありました。貴女も参加してもらう、とおっしゃっていましたが」
「ええっ…まだ聞いてません」
不安そうな顔をするレオナにジルは微笑む。
「契約は今日でしたし……でも…」