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【100プリ】Wistarian Diva

第4章 Op.4 契約成立




同時刻。


城下にある、アップスターレコード社の正面玄関に
クロードとレオナの姿があった。


ウィスタリアの古風な街並みの中で
少し近代的な建物の社屋は

レオナを少し緊張させた。



「大丈夫だ…レオナ」

そんな様子を察したのかクロードが声を掛ける。

不安そうに見上げたレオナの顔を見て

「…なんて顔してる。俺がいる…大丈夫だ」


そう言って頭をぽん、と撫でた。




入口の受付嬢は、クロードの姿を見るや否や
顔を少し赤らめ、慌てて立ち上がった。

「ク、クロード様!」

「やぁ」

クロードは慣れた手つきで軽い挨拶をする。


「ほ、本日はどのようなご用件で…」

「俺じゃなくて、こいつが呼びだされてる。俺はその付添いだよ」

受付嬢は背後に立つレオナの姿を確認する。
「はい…えっと……」

「あ、レオナです」

「…レオナ様ですね、お待ちしておりました。2階の応接室へご案内いたします」


レオナはクロードと共に、部屋へ案内された。









「まだお前の顔は知れ渡ってない。昨日の番組の放送は2週間後だからな…」

応接室に通され、黒い革張りのソファにクロードは身体を沈みこませた。


周りをきょろきょろしながら入口のそばに棒立ちしているレオナに、クロードが呼びかける。

「レオナ…こっち来いよ」

クロードが手招きする。
妖しい笑み…一瞬レオナはクロードの瞳に見惚れてしまう。

「あ…うん」


レオナはクロードの隣に、少し間を空けて座る。


「…もっとこっちに来いって」

そう言われて腰元を掴まれる。

「えっ……ちょ、ちょっと」

クロードの瞳が間近に迫る。


「…いいか、今のうちから俺たちが懇意だということを周りに植え付ける…契約の範囲内だ」


契約の範囲……その言葉に
レオナの胸の奥がわずかにきしんだ。


すると扉がノックされる。


「はい」


「失礼します」


入ってきたレコード会社の人間はうやうやしく挨拶をすると、二人の向かいに座り話を始めた。

その話を遮るようにクロードは口を開いた。



「いいか、レオナはこの事務所と契約するが…条件として、俺がエージェントとして全てを取り仕切る」

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