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【100プリ】Wistarian Diva

第2章 Op.2 原石研磨






「I dreamed a dream in times goes by....」


あまりに有名なその歌い出しの
美しすぎるその歌声に



会場からは
感嘆の声が漏れた。




レ・ミゼラブル
「夢やぶれて」




昼間の時とは違い

美しく整えられたその出で立ちで
紡がれる歌声は


「歌姫」と呼ぶにふさわしい
そんな存在だった。



優しく見守りながらピアノを奏でるノアと
時折視線を交えながら


レオナは高らかに
そしてのびやかに歌った。







「社長…あれは」
「ああ…うちの事務所と契約するよう手筈を整えろ」
「かしこまりました」


会場の片隅で
二人の男が耳打ちでそう会話していた。






その少し後方。


「…とんでもない逸材を発掘したのですね」
ジルは、隣に立ちシャンパンをあおるクロードにそう言った。

「偶然だ。磨いたらとんでもない宝石が出てきた気分だ」
苦笑するクロードに、ジルは少し眉根を寄せる。

「…これから、この『才能』を巡って派手な諍い事が起きなければいいのですが」
「それは無理だろうな」
「クロード」

「…メディアにとってはかっこうの餌だ」
クロードの顔から笑みが消えた。


ジルは視線を前に向けながら続ける。

「クロード、貴方は彼女を?」
「いや、まさか」

クロードは冷たく鼻で笑う。
「…俺は俺の『利益』を追求するだけだ。今後売れていく中で…俺もその恩恵を頂く。それだけだ」


「……彼女から声を奪うような傷つけ方だけはしないでくださいね」

そう言い残してジルはその場を後にした。



「そんな『無益』なこと、するわけないだろ」



クロードの独り言は
誰にも聞かれることはなかった。







「As they turn your dream to shame....」



曲調が高まり、盛り上がりを見せ

会場が一気に高揚していく中



ルイは背中を壁に預け
その様子を見守っていた。






視界の片隅で何かを目論む者たち

親切の仮面を被った者たち



これから

彼女の周りには

沢山の汚れた感情が渦巻いて行くのだろう



その真ん中で

(君はその…美しい声を保っていられるの…?)




ルイの苦しげな表情は誰にも見られることはなかった。



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