• テキストサイズ

【100プリ】Wistarian Diva

第2章 Op.2 原石研磨



わけがわからない、といった顔をしているレオナをよそに

「それはいいな。俺も生で聴いてみたいと思っていたところだ」


「今ね、ジルに確認したらぜひ演奏してくれって」


ノアは能天気に続ける。


「ミュージカルの曲なら、歌えるのかなと思って、いい感じのやつ2,3曲持ってきたー」

そう言って譜面をレオナに渡してきた。



「え、今から歌うの?ここで?」



ついていけずにおろおろするレオナに

「おい、昼間の度胸はどこにいったんだよ」

カインが意地悪に笑った。


「俺、どれでも伴奏できるからー」


ノアがにっこり笑う。



(これは…もう断れない空気……)




レオナは渡された譜面に目を落とした。


(えっと……あ、これなら)

「じゃあ、これ」

差し出すレオナに、ノアはぱっと表情を明るくする。

「あ、やったー!これ、俺が一番好きなやつ」

「え、そうなの?」

うっかり敬語を忘れてしまい、口元を押さえるレオナに

「あ、気にしなくていいよ。ていうか、ここにいる全員、敬語いらないから」

そう言って小さくウィンクすると

ノアはレオナの手を取って音楽サロンの中央にあるピアノのところまで早足で向かっていった。


「……」


その二人の背中を
ルイは黙って見つめていた。











「皆さま、ここで本日の受賞者の演奏を特別にお送りいたします」

ジルが会場にそう呼びかけると、談笑がやみ
大広間は静まり返った。


広間の片隅にある音楽サロンに置かれたピアノの前にはノアが。

その横でレオナが立っている。



「あれって、今日歌で優勝した人だよね」

「そうそう…さっきの歌をやるのかしら…」


微かにざわめく中…。






ノアのピアノの音が

優しく響いた。





レオナはピアノに手を添え

もう片方の手は、胸元に当てた。



(……)



そして


大広間の空気に溶け込むように



レオナの唇から


歌声が響いていった。





/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp