第23章 Op.23 宣言式
翌日。
礼服に身を包んだカインは
国王陛下より宣言を受け、次期国王の座についた。
そのままプリンセスの名前が呼ばれると
真紅のドレスに身を包んだメイカが
ゆっくりと歩いてきた。
カインとメイカが並び
国王陛下により婚約が宣言され
二人は誓いの言葉を述べた。
その後二人はお披露目パレードで城下を回り
夜は関係者の集まる晩餐会が開催され
周辺国の貴族や国賓たちが招かれていた。
ルイもハワード家の代表として
ウィスタリアの貴族たちに挨拶をしていた。
会場の外。
久しぶりのドレスは何だか着慣れない違和感を覚える。
「クロード、私おかしくない?」
ショートボブは軽い内巻きにしてそのままに、
ドレスはシャーベットブルー、マーメイドラインだ。
首元には
クリスタルをあしらったネックレスがかけられ
同じ装飾のバングルが右手に光る。
「俺がスタイリングしたんだ、おかしいわけないだろ」
「いやそれは確かにそうなんだけど」
「だいじょーぶ、レオナ…ルイも綺麗って言ってたし、俺もそう思うよ」
伴奏をしてくれることになったノアが微笑みながら言った。
「息、たくさん吸って?はい、吐いてー」
ノアは深呼吸を促してくれる。
「うん……ありがとうノア。ありがとうクロード。私、歌ってくる…ノア、伴奏よろしくね」
「もちろーん」
会場の扉が開き
まばゆい光が目に飛び込んできた。
(………あ、あれ?)
まばゆい光の先は
大広間ではなく
一面に広がる海だった。
(え?)
切ったはずの髪は後ろへなびき
煌びやかなドレスは木綿のシンプルなワンピースになっている。
「レオナ…」
懐かしい呼び声。
「レオナ……大丈夫」
(お母さん…)
海からの風と共に
聞こえるお母さんの声。
「あなたは沢山の人を、喜ばせ、涙させた」
レオナは黙ってうなづく。
「あなたはそのままで大丈夫」
「お母、さん…」
「ありのままで、もう十分愛されてるから」
優しいその言葉にレオナは目を閉じる。
瞼の奥に映る人たち。
王宮のみんな…クロード、ケイ…
そして…ルイ。
(お母さん、ありがとう)
「………レオナ?」