第21章 Op.21 Revival
『クロード
こんな形で貴方との契約が果たせなかったこと
本当にごめんなさい。
そして結果的に貴方を苦しめてしまったことを、
申し訳なく思っています。
貴方がいなければ、
私はまた家に戻って一生奴隷のように過ごしていた。
貴方がいてくれたから、私は歌を世界に届けられた。
貴方がいてくれたから、私は沢山の人に出会い、愛され、大切にされることの喜びを知った。
貴方がいたから、ルイにも出会えた。
本当に感謝しています。
もし…もし私の病状のことで悔んでいたり苦しんでいるのなら
今すぐやめてね。
これは誰のせいでもないの。それは私が一番分かってる。
契約、といいながら
貴方が常に私のそばで愛を注いでくれていたことを
私は分かってるよ。
ありがとう、クロード』
クロードは手紙を読み終え封筒にしまうと
大きく息を吐いた。
そして
隣に座る、レオナの方を見た。
「……大した女だ、お前は」
レオナは驚いたような表情を見せる。
「俺の気持ち、俺より分かってたんだな…」
そっとレオナの髪を撫でて
クロードは目を細めた。
「……守ってやれなくて、悪かったな」
その言葉に
レオナは思い切り首を横に振る。
そして不安そうな顔でクロードを見つめた。
「………」
もどかしそうに口を動かすレオナを
クロードは思わず抱き寄せた。
クロードの頬に涙がつたう。
「………聞きたい、お前の…声が聞きたい」
それは
初めてクロードが言葉にした
『本当の望み』だった。
抱きしめる腕の力が強まる。
「……お前の、声が…聞きたいよ…」
震える声のまま、クロードは絞り出すように
懸命に伝えた。
クロードの背中に
そっとレオナの腕が回された。
優しく、力が込められる。
高台に降り注ぐ日差しが
僅かに夕日の色を滲ませてきた、その時だった。
「………ク、ロード」
弱々しく、微かな声が
クロードの耳元に響いた。