第20章 Op.20 Interval
病院に到着すると
ロビーで支度を済ませていたレオナが座っていた。
ルイが現れると
顔をぱっと輝かせる。
「部屋で待っていてくれてよかったのに…大丈夫?」
レオナはこくんとうなづき
抱えていた小さな黒板に文字をつづっていく。
『早く会いたかった』
照れくさいのか、書いてすぐにレオナは消してしまう。
「消さないで?嬉しいのに…」
ルイはそっとレオナの髪を撫でた。
そしてそのまま
レオナの傍らにあった荷物を手に取る。
「これから俺の家まで車で2時間くらいかかるけど、休みたくなったらすぐ言ってね」
荷物を持っていない方の手をレオナにさし出す。
レオナは黒板を小脇に抱えると
その手をそっと1度だけとん、と叩いた。
「うん、上出来」
Yesは1回叩くかうなづく
Noは2回叩くか首を横に振る
これは二人だけの合図になっていた。
車で約2時間ほど郊外に向かったところ。
市街地を通り抜けた先にある緑豊かな場所に
ハワード家の屋敷はあった。
真っ白な外壁にスカイブルーの屋根が
王宮にあるルイの私室の雰囲気に似ている。
「ルイ様、おかえりなさいませ」
入口で使用人が出迎えた。
ルイは降りてすぐにレオナをエスコートする。
「こっち。大丈夫だよ…おいで」
緊張した面持ちのレオナの手を
ルイは優しく取る。
「ようこそおいで下さいましたレオナ様…」
頭を深々と下げられレオナが固まっていると
ルイはそっと耳打ちする。
「大丈夫…皆事情は説明してあるから」
レオナはこくん、とうなづくと
顔を上げた使用人に微笑んで深々とお辞儀をした。
「ルイ様、先日おっしゃっていた件ですが、すでにご用意はできておりますが?」
「うん、ありがとう…レオナ?」
呼ばれてレオナはルイの顔を見上げる。
「この間、君が頼んでいた件、用意できてるけれど…早速やってもらう?」
レオナは何かを思い出したようにはっとすると
黒板に急いで文字を走らせた。
『ありがとう、お願いします』
「…じゃあ決まりだね」
「ご案内いたします」
使用人はレオナを中へと促した。