第19章 Op.19 事故
「上からの強行スケジュールをやめさせられなかったのは俺の責任だ」
クロードは立ち上がると
ひどく冷え切った顔つきでふっと小さな笑いを落とした。
「…あいつを利用することはもうできなくなった。あいつとの契約はもう無しだ」
ルイは激しい感情を瞳に宿したまま
クロードを睨みつけた。
クロードはそれを分かっていたかのように
一瞥してまた微かに笑った。
「…ルイ、お前はあいつと結ばれたかったんだろう?あいつは当分活動できないし、俺はもうあいつを利用することもできないからな…お前の好きにしていい」
「いい加減にしなよ」
これまでに聞いたことがないほど
冷たく低い声で、ルイは言い放つ。
「さんざん利用して、使えないから切り捨てるってこと?」
「…そう取りたいならそう取ればいい」
クロードはその場を後にしようと背を向けて歩き出した。
「クロード」
足を止めたクロードに
ルイは静かに言い放つ。
「……もうレオナに近づくな」
「言われなくても…そのつもりだ。これ以上関わっても俺にメリットはない」
クロードはそのまま一度も振り返ることなく病院を後にして去っていった。
「……クロード…」
ルイは眉根を寄せる。
その顔にもう怒りはない。
(それが、アンタの『真意』なら)
ルイはこぶしをきゅっと握りしめ
何かを決意したかのように立ち上がった。