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【100プリ】Wistarian Diva

第19章 Op.19 事故



声の主はシドだった。



「ああ、シド…まさかもう分かったのですか」

「あ?俺を誰だと思ってる」



シドは談話室を見渡し
ルイと目を合わせるとふっと鼻で笑った。


「ジルからの依頼だったが…この泣き虫が一番欲しがりそうな情報だな」


「…何の話?」

ルイは苛立ったように問う。


ジルがすかさず間に入った。


「ルイ…実は速報を受けてすぐシドに調査を依頼しました」

「え?」

ルイの目が見開かれ
シドに皆の目が向けられた。


「あ?何なんだよ、お前ら…全員情報料払ってもらうか」


「いいから早く教えろ」
「いいから早く教えて」

一同から一斉に言われ、シドは両手をあげる。


「わかったよ」

シドは一瞬ジルの方へ視線を投げ

「結論から言うと…」

ジルのうなづきを確認して言葉を続けた。








*********


いつもより景色の飛んでいく速度が速い。

はやる胸に合わせてアクセルが踏みこまれる。



落ち着こうと思っても
土台無理な話だった。



ルイの頭の中では
先ほどのシドからの言葉が繰り返し響いていた。







「…レオナが事故に遭ったというニュースは、ツアー中止を世間に納得させるための嘘だ」


「…なんだって?」

カインが眉根を寄せる。

ルイも同様だった。



「……しかも、あいつは先週から…ウィスタリアにいる」

「シド、それはどういうことですか」

ジルの冷静な声に、僅かな動揺が滲んでいる。



「はっきりした原因はわからないが、おそらく精神的な何かが原因で、今とてもあいつは歌える状態じゃないらしい。
で、今はウィスタリアの病院に入院、ケイが事後処理で北米に残り、クロードが事務所と今後の交渉をしている」


「……レオナちゃん、いったいどうなってるんだ」


「病状は完全に伏せられていて分からないが、ばれずに帰国できるくらいは動ける、ってことだな」


シドはそう告げると

ふっとため息をついて、ルイの前に立つ。



「おい、泣き虫…なにぼうっと座ってやがる」

「……何?」

はっとなって、ルイはシドの挑発を受けようと目線を上げた。

シドは一枚の紙切れを渡す。



「……レオナの入院先だ。名前は伏せているがそこにいる」



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