第18章 Op.18 Happy New Year
クロードのシャンパンを三人で空けた後
ケイはそのまま事務所に泊まることになり
レオナは家が事務所から歩ける距離ではなかったため
クロードの家に行くことになった。
「いいのか?俺の家で…」
クロードはスーツケースを引きながら、まだ賑わいの消えない城下を歩いた。
「…だって、さんざん住んでたし…」
「まぁな…」
クロードの横顔は久しぶりに見たせいか
少し痩せて見える。
「クロード…ちょっと疲れてない?」
レオナがそう声を掛けると、クロードは鼻で笑った。
「おい…お前に言われたくないな」
「え?」
「……お前こそ、大丈夫か」
向けられたクロードの顔は不安げに瞳を揺らしていた。
「…少し痩せただろう」
クロードは立ち止まり、レオナの頬をすっと撫でる。
「…そうかな」
クロードの優しさは、ルイのそれとは少し違う。
兄弟はいなかったが、もし兄がいたらこんな風に大切にしてくれたのかもしれない。
そう思わせる節があった。
「……痩せたらお前の胸と尻が台無しになるから気をつけろ」
「ちょっと…!」
レオナはクロードの背中をばしっと叩く。
クロードはレオナの頭をくしゃっと撫でる。
「いや……ほんと冗談抜きに…気をつけろよ。海外は特に気を使う…タフな俺でもやっぱり『外』が重なると疲れるからな」
(やっぱり、疲れてるんだな…)
レオナはクロードの背中をぽん、と撫でた。
「…?」
「……クロード、お疲れさまでした」
「……なんだよ急に」
(あれ……)
視線をそらしたクロードの顔が少し赤いような気がする。
そんな様子のクロードを見たのは初めてだ。
レオナがじっとクロードを見つめていると
「……何だ、そんな物欲しげな顔してたら、明日半休にして一晩中いじめるぞ?」
クロードはレオナの身体を片手で抱き寄せ、耳元にふっと息を吹きかけた。
「ちょっと!やだ!!ほんとに勘弁してっ!!」
クロードは笑いながら腕を解く。
「冗談だ…行くぞ」
本当に『仕掛けて』こないクロードの背中を見て
レオナは改めてクロードの気持ちを悟った。