• テキストサイズ

【100プリ】Wistarian Diva

第2章 Op.2 原石研磨



クロードは楽屋の時計を見上げると


「ん、まだ時間あるな……おい、リンダ」

「はい」


遠くから返事がして、かわいらしい赤毛の女の子が現れた。


「なんですか、クロードさん」

「この楽屋、ぎりぎりまで借りるから、こいつの顔何とかしてやってくれ」

そう言ってレオナの顔を指差した。

リンダと呼ばれた女の子は
「あ、さっきの歌姫!」

と、驚いたような声を上げると

「私がやっちゃっていいんですか?」

クロードに目を輝かせて尋ねる。

「ああ…お前に頼みたい」

クロードはウィンクして応えると
リンダは嬉々とした表情で

「もう!あなたの顔を見た瞬間から何とかしたいって思ってました!!」

そう言って、ドレッサーの前に強引に連れて行った。



「え、ええ?」

動揺するレオナにリンダは

「まず、このふっとい眉毛、伐採しますからね」

そう言って、小さなハサミを取り出し
瞳の奥を光らせた。


「……は…はい…」


レオナはもう何も言うことができず
大人しくドレッサーの前から動かずにいることにした。













********


「なんだか、ウィスタリアにもずいぶん才能のある人がいるんだね」

王宮の大広間。

ウィスタリアの有力貴族や、有名企業、プロダクションの重役たちが集まり
パーティの談笑を楽しんでいる。

少し離れたところにたたずむのは
「100日間のプリンセス」として選ばれたプリンセス・メイカと、カインだった。


「あ?なんだ、珍しいのか」

「私も見に行きたかったな…収録」

「お前がいたところで何の役にも立たねえ」

「ちょ!」

騒ぐ二人の後ろで、咳払いが一つ聞こえる。


「…プリンセス、貴女は別の公務が立て込んでいたでしょう。それにこのパーティもお遊びではないことをご理解くださいね」

「…はーい」


プリンセスの素直な返事ににっこりほほ笑んだ教育係のジルは
紫色のジャケットを翻しその場を去った。






/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp