第16章 Op.16 イブの晩餐
晩餐会の会場にはカインとプリンセスをはじめ
ノア、ジル、レオが待っていた。
「レオナーー!!会いたかったーー」
第一声はノアだった。
レオナがやってくるなりハグで出迎える。
「あいつぜってー狙ってやってやがんな」
カインはぼそっと呟く。
ノアは抱きしめたレオナを離してまじまじと顔を見つめる。
「…疲れてない?忙しいんでしょ?」
「うん、大丈夫…みんなに会いたかったから」
「俺の隣に座ってね!」
ノアが自分の隣の椅子に手を掛けようとすると
「ノア様、それ、俺の仕事です」
ユーリが割って入る。
「お前らちょっと落ち着けよみっともねー」
カインは相変わらずの様子だ。
「カイン…久しぶり。プリンセスも、お元気そうでなによりです」
「レオナさん、お忙しい中王宮にお越し下さり本当にありがとうございます」
プリンセスの挨拶はとても品のある優雅なものだった。
(プリンセスって感じだなぁ…素敵)
「本当にお忙しい中よくいらしてくれました。どうぞお掛け下さいね」
ジルがその隣で優しく微笑んでいる。
「あ、ジル様、先日はみんなからの差し入れをありがとうございました。あ、そうだ!ルイ、キャンディをありがとう!」
レオナは思い出したようにルイの方を振り返る。
ルイはさきほどとは別人のように無表情に
「…うん」
と小さく返事をするだけだった。
「…ルイ?」
少し首をかしげるが、ルイは反応しない。
「さぁ、皆さん食事を運びますから御着席下さーい」
ユーリの掛け声で皆はそれぞれの席に着いた。
皆はそれぞれ
レオナの歌のことや、王宮での出来事
プリンセスの話など、とにかく様々なことを話した。
お酒もどんどんすすみ、皆の話は盛り上がる一方だった。
やがて
12時を知らせる鐘が鳴り響いた。
「もうこんな時間か…」
プリンセスはお酒がまわったせいか半分寝ている。
「ったくめんどくせーな」
カインはプリンセスを抱きあげた。
「じゃ、俺は一足先に行くからな」
「まったく…お酒の作法はもう一度レッスンの必要がありますね」
ジルが呆れたように二人を見やる。
「俺たちも部屋戻るか…レオナちゃんは帰る?」
レオの問いに現実が戻ってくる。