第7章 マイスウィートハート【まじっく快斗】
トラップが正常に作動したのを自身の目で確かめ、
オーナーは大きくのびをした。
警察やらマスコミやらにさんざん笑顔をふりまくハメになったのだ。
たかがネズミ二匹にかぎつけられたせいで。
まぁ、いい。
始末したあとは自分が有効利用させてもらう。
これまでに数えきれないほどの美術品にかかわっている怪盗様たちだ、
この二人が目をつけた美術品はどれだけ高値まで上げられるだろうか。
ざっと計算しただけでも美味しいことこのうえなく。
芳醇なワインをグラスいっぱいに飲み干し、
満足な気分にひたりながら
オーナーは展示室へと続く道をゆったりとした足取りで出ていく。
ひらけたそこかしこにはまさにお宝の山。
ぐるりと見渡し、展示室から出・・
開かない。
この部屋に出入りできるのは自分だけ。
しかも中から鍵をかけてしまえば自分にすら部屋に入ることはできない。
何度もノブを回す。
独特の金属の不協和音が響くだけだ。
なにが起きている?
自分の身に一体何が・・・
「セキュリティもやりすぎは禁物だよね、
自分も出られなくなっちゃうわけだから。こんなふうに。」
「このでたらめな迷宮こそが
貴方の子供心とでもいうおつもりですか?オーナー。」