第3章 キミに会いに。
「大丈夫?コナン君、お腹すいてるでしょ。悪いね、蘭ちゃん借りちゃって。」
いーよ、別に。の返事に元気がない。
やけにボーっとしてるけど、それこそチャンスかもね。
同じローテーブルに座って、せめてコレで我慢しててって言われたオレンジジュースがとっくに空になって、
透けて見える、
小さな頭。
「いやぁ。女の子はほんとタフだよね。
あれだけガールズトークしといてまだ買い物行けるんだから。
盛り上がってたよ?新一くんもくればよかったのに。」
「だから。あんなところ無理・・って・・・新一にーちゃんなら、連絡とかできないよ。ボク。」
「だろうね?自分の携帯に電話することなんて浮気を隠したいときくらいだもんね。
ひとり二役ってのは・・どんな気分?」
「・・・・・そっちこそ。
なんつもりだ、てめーはよ。」
そうそう。
見たかったのはそれだよ。
本当のキミの目。
「別になんのつもりもないよ。そーだね、警戒するのは正解。
でも心配はしなくていいよ、悪意なんてカケラもないから。」
ホールドアップの体制で言っても、ほら。
キミの目はどんどん本気になっていく。
「うーん。単に仲良くしたいだけなんだけどな。
この前・・久しぶりにゲームに勝てたから。
調子に乗りすぎちゃったかな?」
「ゲーム?」
訝しげな君に伝えるとくやしがるかもだけど。
「・・お互い、予告状は出したんだけどね。
持ち主が案の定、警備を断ったんだよ。だから当然メディアにも流れてない。
いくらキミでも知らないことがある、てコト。
ずいぶん、立派な宝石だったんだけど
思い出の品は別にあるから欲しい人がいるならその人に大切にしてほしいって、
優しい感じのおばーちゃんだったよ。あのご婦人は。」
上着から出したのは、手のひらサイズのルビー。
・・・大切にするって約束したから、
こうやって天鵞絨の袋に入れて持ち歩いてる。
「最近デビューしたばかりだし、君はキッドキラーなんだろ?
オレに興味がないのは当たり前。
一応、自己紹介しとこうか。オレは怪盗ナイト。
時々だけど。ね?」