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【名探偵コナン】【まじっく快斗】本物の魔法使い。

第2章 向日葵を愛した人へ。


「まさか!誰かを誘拐したんじゃないだろうな!!」
「怪盗が誘拐なんてしてどうすんのさ、オレは伝えてあげただけ。
そうだね、もう時間は過ぎたハズだし渡ってないならそろそろ帰ってくる頃かな?
それに・・予告状に書いただろ?
夕陽が沈む前までに、とっくにいただくものは頂いたからね。」
ひょいと観衆に向けられたのは・・籠?
藤か何かで編んだありきたりなデザインだ。
揺らしても何も出てこないという事はたいした量は入っていないということか?
ふいに。
籠を大きく揺らし、中身が飛び散る。
飛び散った小さな何かは周りに植えてあるモミの木にぶつかり、
揺れた枝がさらに枝を揺らして・・何か、降ってくる。
「・・・雪?」
降ってくるそれは子供の手のひらに収まるほど小さく、
白っぽい色の粒。何かを紙で包んだ物。
「・・・・・雪じゃないわ。
ただの、飴よ。」
灰原の手にもそれはあった。包みを開いた様子はないのに。
「この飴、ばあちゃんとこの飴だぜ!」
「あー!元太君、食べちゃったんですか!?」
「ほんとだ。おばあちゃんの所のだ!!あれ?
この飴、紙に包んである・・なにか書いてあるよ。」
光彦が元太をたしなめ歩ちゃんは包んでいた包装紙をじっと見ている。
「えっと・・『会いたいです。』?」
つられたようにあちこちから同じような声があがる。
集まった観衆たちのところへと紙に包まれた飴が降ってくる、
その包装紙には
『待っています。』
『ずっと前から』
『おかえりなさい、』

「どうやら古い手紙を文章ずつにわけて包装してあるみたいね。」
騒ぎがおさまる頃には当の本人の姿はとっくになかった。
甘い香りと甘い言葉。
公園中に満たされてゆく。誰かの気持ちが、誰かに伝わってゆく。
時間も空間も飛び越えた伝言ゲームのように。

ギャラリーたちがほとんど持ち帰ってしまったため、
元は手紙だったのだろう、と言えるほどしか回収はできなかった。
内容はおそらく渡すつもりも送るつもりもない恋文といった感じだった。

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