第13章 ズルイ自分を変えたい。
「なんで…だろうね?」
そうとしか答えられないのだ。私は。
「だって、君夏。5才下がどうとか…」
「冴子、その話はもう…」
あわてて冴子の言葉を遮る。
チラッと烏養さんを見たけど、気にしてない風にタバコをふかしていた。
でも、気にしてない訳では無いと思う。
その証拠に、ちょっと眉間にしわが寄っている。
…チクリと胸が痛んだ。
彼の前では、その話はしないで欲しい…。
私は大事にしてもらっているのだ。
だから…私も…。
そう思うのに、今度は別の意味でチクリと胸が痛む。
こんなに後ろめたいのは、
まだ西谷くんに気持ちが向いている証拠だ。
「ちょっと烏養くん!どうなってんの?」
尋ねる冴子に、
「別にどうもねぇよ。失恋の弱味に漬け込んだだけだ」
正直にそう答える。
「なにそれ‼」とギャーギャーと掴みかかる冴子。
それをあしらう烏養さん。
そんな二人を横目に、
チョイチョイと手招きをされ、耳打ちの仕草をする嶋田さんに、自分の耳を近づけた。
「繋心、君夏ちゃんの事、結構前からだから。ただ、歳が上だから相手にされないと思ってたみたいだよ。詳しい事は幼馴染みに聞いてみな」
そう言ってニヤリと笑う。
結構前って、いつ…?
頭に浮かんだ疑問を問いかけたくて、冴子とやり合っていた彼を見れば、眉間にしわを寄せて訝しげにこちらを見ていた。