第13章 ズルイ自分を変えたい。
「なんで、そーなってんの?」
冴子の疑問はごもっともである。
あれから一ヶ月程。
なんで?どうして?と疑問ばかりで始まった烏養さんとの関係。
でも、私の疑問に烏養さんはちゃんと答えてくれていた。
『弱ってる所に漬け込んだのは認めるが、その気の無いやつに手を出そうとする程、節操なしじゃねーよ』
その言葉で、真意はわかった。
『お前の気持ちはゆっくりでかまわねぇから』
その気持ちに甘えてしまう事にした。
ズルイのはわかっている。
相手に失礼なのも…わかっている。
なんだか適当そうに見える彼だが、意外とちゃんとしていて、マメに連絡をくれる。
そして、きちんと返事をしないと…心配をする。
この一ヶ月の間に、
看護学生の私は病院での実習の期間があってバタバタとしていた時があった。
慣れない環境と緊張でくたくたで帰ってきてからの実習記録。
もう、いっぱいいっぱいで、
音を上げそうで、
烏養さんからのメールに返事をする余裕もなかった。
そしたら、家まで来ちゃうんだもん。
お父さんもお母さんもびっくり。
「こんな身形ですが、真面目にお付き合いさせていただいているつもりです」
そんな風に挨拶されて、私もびっくりした…。
本当、適当そうなのにちゃんとしてる。
私はこの人に大事にされている。
そんな風に思った。
ちなみにこの話は瞬く間に商店街中に広がる…。
嫌がる私を他所に、
「ネチネチと噂されるより、この方がさっぱりしてていいだろーが」
と烏養さんは笑っていた。
周りから固められた感が無くはない。
でも…
まぁ、そんな事があって…
それ以来、きちんと連絡するようにしている。
今日は【バイトで帰りが遅くなる】と伝えた所、車で迎えに来てくれた。
坂ノ下に車を置いて、それで来たのはおなじみの『おすわり』。
中に嶋田さんと滝ノ上さんが居た。
私達を見た二人は、一瞬目を丸くして、次はケラケラと笑い、それで、面白がって冴子と行成を呼んだ。
行成は来れないらしいんだけど…。
到着した冴子の開口一番の言葉が、先程のアレ。