第2章 はじまりは電話から
「君夏。久しぶり~」
電話口から、変わらない冴子の声が聞こえる。
「久しぶりだね。どうしたの?」
「うちのバカな弟達を助けてくれない?勉強教えてやって」
冴子の弟の龍くんは、私達が通った烏野の二年生だ。バレー部だ。
赤点があると遠征に行けなくなる龍くん達を助けて欲しいと、同級生達では手に負えそうにないからと言われた。
「冴子の成績じゃムリだもんねー」
私がそう笑うと「君夏までそんな事言うなよ‼」と怒る。
『まで』と言う事は、龍くんにも言われたのかな?
「OK‼今日、バイト無いし行くよ」
「悪いな。じゃぁ、頼むよ」
そう言って、冴子の家に言ったあの日。
君とはじめて会った。
『西谷夕』
君の名前を知った。