第5章 プレー中の君は別人
許可を取って、見学をしていた。
コートでは試合が行われている。
冴子はちょっと寝たいと荷物を置かせてもらった部屋に帰っていった。
「バレー経験者ですか?」
清水さんが私に話し掛ける。
「否…違うよ。幼馴染みがバレーしてるからたまに観に行くくらい。だから、ルールとかは全然わかんないよ。スポーツ観るのは好きかな」
私の答えに彼女は「そうなんですね」と微笑み、記録のノートに目線を落とした。
ヤバい。美人過ぎてドキドキする…。
「な、なにか手伝える事があったら言ってね。これでも看護の勉強してるから、ちょっとした手当てとかテーピングくらいなら出来るから」
綺麗な横顔の彼女にそう言えば、反対側から
「本当ですか?それは心強い‼助かります」
と武田先生が立ち上がる。
先生、目立ってます…。
こちらに向く目線が恥ずかしい。
「まぁ、出番が無いに超したことはないんですけどね…」
と苦笑いを浮かべると、
私の居心地の悪さに気づいたのか、
「あっ。そうですよね。すみません」
と申し訳なさそうにベンチ腰を降ろした。
私もコートへ目を向けた。