第4章 田舎のコミュニティは狭い
とりあえず、烏野の先生達に挨拶をと思って体育館を覗けば、見知った顔を見つけた。
「えっ?坂ノ下の烏養さん?」
「あー。知り合い?町内関係?コーチやってんだって」
「あぁ…そう…」
烏野商店街…というか、
田舎のコミュニティは互いの距離が近い。狭い。
町内の子は皆家族‼と言わんばかりで、一歩家からでれば「伊藤さんとこの君夏ちゃん」と声をかけられ、世間話に付き合わされる。
同じ年の行成も、町内のおじさん達にお酒を呑もうと誘われてちょっと困ると、ボヤいていた。
良いことも悪いことも、瞬く間に広がる。
プライバシーなんてあったもんじゃない。
そんな、大嫌いなネットワーク。
ふぅーと一つ溜め息を溢すと、
「あの、すみません」
と声をかけられた。