第4章 田舎のコミュニティは狭い
「ちょっ…。急ぐのはわかるけど安全運転ね」
冴子の運転する車の中。
身の危険を感じているのは私だけじゃない…はず。
龍くんに『姉貴だけじゃ心配なんです。お願いします‼』と頭を下げられて、日向くんと影山くんという後輩2人を東京まで送る事になった。
二人は赤点を取ってしまい、補習を受けなくちゃ行けないので、皆と一緒に出発できないらしい…。
…うん。
龍くん、可愛い後輩が心配だよね…。
わかるよ。
わかるよ。
「大事な後輩くん任されてるんだからね‼交代で運転するからね‼」
「わかってるよ!」
そう言いながらも、アクセル全開で飛ばそうとする冴子。
こんな中、隣で寝ている影山くんは随分と神経の太い子だなぁと感心した。
身体を縮こめているのがちょっと辛そうにも見える。
前の二人は私達と同級生だった小さな巨人の話をしていた。
「君夏ー。覚えてる?」
「ごめん。覚えてない」
「だよなー」
それきり、また二人で話しはじめた。