第3章 君は友人の弟の友人
ハイタッチで別れてから数日後。
冴子の家。
高校生達のテストの結果は、
無事に赤点は免れたらしい。
合宿に参加できると皆が揃って挨拶してくれた。
律儀な子達だ。
「役に立ててよかったよ」
そう言うと、高校生達は大きな体を折り曲げて、また頭を下げる。
「龍!夕!君夏に感謝しろよー」と冴子が龍くんの頭をワシワシと撫でながら言えば、
この前のように両手を出し、
「ありがとうございます!君夏さんのおかげです!」
と、ニカっと笑う西谷くん。
無邪気な笑顔に、私の心は持っていかれた。
弟なんかじゃない。
私は、君に惹かれたんだと気づいてしまった。
パチンと合わせた両手が熱を持つ。
その熱に導かれるように、
顔までもが熱を持った。
でも…。
私は21。彼は高校生。
釣り合うわけなんかない。
よりによって、なんで高校生なんか…。
熱を持った顔を隠すように、
気づいた想いに蓋をするように、
下を向いて、小さく首を振った。
「合宿頑張れ‼」
上手く笑えていたかは分からないけど、皆にエールを送った。