第2章 番外編 第二話「割烹着の話」~鬼蜘蛛丸~
~おまけ~
鬼蜘蛛丸の奴、上手く渡せたかな?
一緒に歩くお頭と適当に会話し、相槌を打ちながらそう考えていると。
しっかし、鬼蜘蛛丸……お前鈍感だから気付いてないだろうけど、女性に対して何かを贈りたいっていうその感情って……。
そう考えたら、ふいに麻言の顔が浮かんで、胸にちくりと痛みが走った気がした。
「――なんだ、今の?」
「――――で、そいつが、なかなかの大物で~、ってどうした義丸?」
あっ、うっかり声に出てしまっていた。
「いえ、何でもありません。なるほど、それは凄いカジキマグロですね」
「え?いや……、俺が言っていたのはここから北東にいる剣術使いの話しだぞ?」
お前、俺の話し聞いてなかっただろ、と拗ねてしまったお頭の機嫌を直すのに俺はその後随分と時間を費やしてしまう事となった。
番外編第二話「割烹着の話」~鬼蜘蛛丸~(終)