第9章 太宰 治 「4年ぶり」
「まあね。ここらではまともな教育を受けていない者は雇ってもらえなくてね。」
と云うと男に顔を近づけキスをした
男もそれを受け入れ、そして、女の腰に手を回した
「そうか…なら、私にひとつ善い考えがある。」
「善い考え…?」
「嗚呼…私が君にぴったりの仕事を紹介してあげよう。」
「本当か?なら、治にお願…」
「無料では駄目だよ。」
「矢っ張りか…」
「この世の中、ギブアンドテイクって云うだろう?」
「そうか…解ったよ。…治。」
と女は云うともう一度男にキスをした
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ガチャ
「どうぞ。」
「ん。」
と女は云うと部屋の中へと入っていく
「此処が治の住んでいる所か…狭いし汚いな。」
「ま、昔 私達が住んでいた所よりは狭いだろうね。」
と笑いながら男は云う
「狭いのは善しとしてあげる。が、汚すぎるだろう。」
「私は昔から片付けが苦手でね。」
「そうだったねェ。」
「…何コレ。」
と云いながら女は床に落ちていた紙切れを視る
「…マ、イ?」
「それは…!」
「何?そこらの女からの恋文だろう?」
と女は云うと紙切れに書いてある文章を読み始めた