第19章 10日目の諦感
「…ああぁっ!」
ふるりと肌が震えると、小さな身体がくたっとシーツに埋もれる。
戻ってからなんの言葉を発することもなく、いきなり行為に及ぶ。
なんて自分は浅ましいのか、嫌になってしまう。
気持ち良さそうにひきつるそこに安堵し、まだ繋がっていてもいいという気持ちにさせていく。
ルルさんは静かにそれに答えてくれる。
指を絡めると、すがるようにきゅっと握り返され、まるで本物の恋人になれたかのように胸を締め付けられる。
「…はぁっ……ルルさん…。」
「あん……っ!」
吐息がこぼれだし、思わず名前を言ってしまう。
そんな、資格なんて、ないはずなのに。
昼間のやり取りが頭を過って、つい言ってしまいそうになる。
もう遅いのに。
この部屋の鍵と同じように、ルルさんの心をも私は閉ざしてしまった。
昨日の涙をふと思い出し、ぎゅっとシーツに沈むその身体を壊れないように包み込む。
「はっ…!あっ、あんっ、…っ!」
一点をぐりっと抉ると、断続的な甘い声が出た。
「んっ……!」
ルルさんはぎゅっと目を瞑ると、涙が浮かんで溢れた。
それは、生理的に寄るものなのか、私に対してなのか。
「ジェイドさん…っ、どう、あっ…、したんですか?」
身動ぎしながら私の様子を伺う。
「なんでもありませんよ。」
「いつもより、なんか、寂しそうです。」
睫毛についた涙にそっと舌を這わせる。
ひくっと肩が動き、甘い声がする。
快楽に耐えきれず、行き場のない手を私に伸ばした。
優しく頬に触らないで欲しい。
すがるように腕を回さないで欲しい。
愛しさが込み上げて突き放せなくなる。