第19章 10日目の諦感
「ルルさん、こんなことしても、私のことを怖がらないのですか?」
「…?な、なんでですか…?ジェイドさんは、あっ…お優しいから、怖くありません。」
額に浮かぶ汗が月明かりに反射して美しい。
まるで女神か天使か、そう言われながらなのがまた慈悲に満ち溢れてて己のしたことが情けなくなる。
「すみません、私もこんなこと、初めてなのでどう表現したらいいかわからなくて。
こんな…風にしか、出来なくて……。」
声が出ず、振り絞るように言う。
「ルルさんは、私から離れた方が幸せになります。きっと。」
「…っ」
ルルさんは、悲しそうな悔しそうな、儚げな表情をする。
「ジェイドさんも、私から離れた方が、きっと良いです。」
私は頷くと、彼女はその言葉に反するように、身体をぎゅっと抱き締め、脚を絡み付かせる。
「私が、最後に出来るお礼ですから、たくさん気持ちよく、なってください…?ね…っ?」
喘ぎなのか嗚咽なのかわからないが、笑顔で、涙を流して、慣れない風に身体を押し付ける。
快楽に溺れる前に見た表情は、少し恥ずかしそうにしていた。
お互いに、もう触っていない処なんかないくらいに、触れ合い、口付けし、本当の恋人になれたかのような一晩を過ごした。