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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第14章 8日目


一人で町に下りたのは2回目。
大体の場所は把握していたので、さっくり買い物を終わらせる。
「よし!急いで帰ればいける!」
バレないように作戦は城に戻るまでが作戦だ。
私はいそいそと荷物を抱えて戻ろうとした。
が、その時、右腕を強く引かれた。
見ると、少し前に話しかけてきたお兄さんたちだった。
「また会えて光栄ですよ、お嬢さん。」
「メイドさんしてたんだー、知らなかった!」
「…やっ、離してくださっ…!」
逃げようとしたが、相手の力が強く、私はそのまま近くの車へと運ばれた。
「ひっ……なん、ですか…?」
閉められると、逃げ出せない恐怖で急に身体の震えが止まらなくなった。
「何度見てもいい顔してんなぁ。」
「もしかしたら高く売れるかもしれないぜ!」
「軍人さんの恋人だもんなぁ……。」
舌なめずりをする下品な二人の声に虫ずが走る。
音機関が音を発すると、宮殿が段々小さく見えるのが硝子越しに見えた。
暗い森へと流れる風景を、あまりの緊張に眺めることしか出来なかった。

小さな自動車は霧に呑まれていくと、暗い木の小屋へと辿り着いた。
震える身体をぎゅっと抱き締め、気をしっかり持とうとした。
がちゃっとドアを開けられ、髪を捕まれながら降りるように無理矢理引っ張られる。
「さっさとしろ!」
「っ……!やめてくださいっ」
震える声でしか言えない自分が情けない…。
「いいからこい!!」
ごつい肩に担がれ、抵抗することも出来ずに私はその小屋へと入らされた。
薄暗いそこは、温かな木の匂いは一切なく、湿気とゴミの悪臭、ほんのかすかに血の臭いがした。
「ボス、上玉が捕まりましたぜ!」
担いでいた男性が私を放り投げながらそう言う。
ぼふっと埃が立ち、背中に走る痛みと土埃でけほけほと噎せた。
「ほう…?グランコクマ城のメイドか。良いではないか。」
「それだけじゃないっす。あのカーティス大佐の女ですぜ!」
「最高の人質だな。言い値でいい。」
「うっしゃ!」
男達はハイタッチすると、二人でどうするか金額の相談をする。
怖くて頭が真っ白になっていると、知らない合間に前にいた大男が私の腕を後ろに縛り上げていた。
あまりの痛みに呻きながら、やっと危機感を察知した。
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