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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第14章 8日目


とうとうジェイドさんの休暇が終わってしまった。
勿論、今までと私の生活は変化しないが、お泊まりでのお仕事があったり、あまり戻れないという話を聞いて、あまりのショックに泣きそうになってしまった。
「今日は戻りますから、大丈夫ですよ。」
明日は?明後日は?と聞きそうになるのを堪えた。
「それでは、行ってきます。」
軍服姿のジェイドさんは、思い返せば初めて見た。
あまりにも格好よく、胸が高鳴った。
「おかえり、お待ちしております。」
私も制服をまとい、玄関先まで見送った。
ジェイドさんは急に私を引くと、唇にちゅっとキスをして、はい、と笑顔で言った。
しばらく呆然と固まってしまった。

午前の仕事が片付くと、ピオニー様がお昼に誘ってくれた。
「でも、私、陛下の出す食べ物においては注意してくださいと、かなりきつくジェイドさんに言われて……。」
「なんだそれ。信用ないなぁ俺。」
笑いながらピオニー様と大きな応接室へ脚を運んだ。
食事を結局いただき、近況を色々と聞き出された。
「あー、それはジェイドに聞いたやつだった。」
とよく挟まれ、お二人の仲の良さを感じつつも、恥ずかしいことまで全て筒抜けになっているであろう現実に直面し、ピオニー様のお顔を見て話すことが出来なくなった…。
ピオニー様とのお話は楽しく、参考になった意見も多数あったが、
「絶対にアイツはお前にベタぼれだから。」
という一言だけは信用できず、ぶんぶんと首をふった。

「ルルさん、貴女が買い物行ってきてくれない?」
午後も遅くなった頃、メイドの一人がやってきて私にそう言った。
「あ、あの、申し訳ありませんが、私、外出の許可が下りてなくて……。」
「はぁ?同じ仕事してるんでしょ?なんでよ?」
言われた言葉にどきっとする。
確かに私は今、一メイドとして雑用をしていた。
しかし、前々から下りない外出許可はさすがに今は解除されているのではないか。
「メイド長さんに聞いてからでもよろしいですか?」
「そんなことしたら私が怒られるでしょう!?」
「…え…?」
変装をし、バレないように迅速に戻るという決心をし、私は諦めてお使いを引き受けた。
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