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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第12章 7日目


「ピオニー様、私もお仕事が欲しいのですが…。」
明日からジェイドさんはお仕事に戻られる。
相変わらず一人で町に出る許可は下りないので、せめて城内の仕事を頂けないか直々に掛け合ってみる。
「メイドや執事の仕事なら常に人手が足りてねえとは思うんだけど、メイド長に聞いといてやるよ。」
「…ありがとうございますっ!」
「つっても、夜もあんま寝てねえみてえだし、大丈夫か?」
「!!?」
「みんな知ってるからその辺は大丈夫だろうけど。」
書類をさらさらと片付けながらピオニー様は平然と言った。
「…え?あ、聞き間違いですよね?」
「いやいや。見てたらわかんだろ。」
全身に冷や汗が流れて私は即自分の全身を触ったり見たりする。
「まあ見えるもんでもないんだけどな。」
「???」
ピオニー様は変な音機関を使うと、いそいそとメイド長がやってきた。
いつも会っている可愛らしい女性ではなく、少し年上の上品なお姉様だった。
「こいつが明日からでも仕事をしたいって言ってんだが。簡単な雑用でもないか?」
「ジェイド様の許嫁様ではありませんの?」
しとやかに聞くその人の一言を、私はぎょっとして訂正しようとした。
「ち、違います!私は拾われただけで!」
「そうそう。許嫁な。」
「え!?」
メイド長はくすりと笑うと、かしこまりましたとお辞儀をして部屋を出た。
「ピオニー様!毎回言ってますが、絶対に違いますっ…!」
「ちがわねーから!大丈夫だって。あと数ヵ月もしたらマジだから。」
どんな予想ですかと突っ込みをいれたい気持ちを抑えて、私は口をぱくぱくさせながら恥ずかしさに耐えた。
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