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互換性パラノイア【TOA】【裏】

第12章 7日目


昨夜の記憶があまりにも曖昧で、ただ身体の中が熱かった。
いつもより格段に優しい手付きだったジェイドさんは、勘違いしてしまってもいいのかと思ってしまうくらいだった。
それでも、もし私のこの気持ちを伝えてしまったのなら、それはご迷惑なのではないのか考えてしまって、悩んだ挙げ句、起きてから聞きに行った。
「私、変なこと言ってませんでしたか…?」
いつかは離れて暮らさないといけなくなる身。
そして何より、今までの暮らしが違う。
私は明日死んでも誰も困らないような暮らしをしてきた。
あの町に住む前の記憶はない。
両親と住んでいたか。
一人だったのか。
なにも覚えていない。
一瞬、嬉しそうにすると、ジェイドさんはいつもの少しいじわるな笑顔をしてから言った。
「もっとついてくだ…」
「やだぁぁぁ!!!忘れてくださいっ!!」
恥ずかしくて泣きそうだった。
……私、そんなこと言ってたんだ…!
そしてそれを見られて楽しまれて…今すぐ消えてなくなりたい…!
その場でうずくまると、ジェイドさんは立たせてぎゅっと抱き締めてくれる。
(な、なんで、そんなことするの……?)
好きという気持ちが溢れて声にしてしまいそうになる。
所詮ペットなのに、ときっと思われてしまう。
今だけでも、勘違いしたい。
私の感情はこの方にはきっと必要ない。
身体だけの脆い繋がりが、今の私を支えてくれた。
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