第9章 5日目の好色
「何買うんだ、今日は。
お前らほぼ毎日買い物してんだろう。」
何故か陛下も付いてきた。
「陛下は本日お忙しいのでは?」
「休暇中の馬鹿が何かやらかさないように見張っている。忙しい。」
はあっと溜め息をつくと、ルルさんがくすくすと笑った。
「ルルさんのお洋服を少し買い足しと、前回は取り急ぎの日用品しか買えませんでしたからそこも少し。」
「いつもありがとうございます…っ!
でも私、今のままで充分なので……。」
「明後日から私の職務も始まります。そうなりますと、会食も増えますし、お付き合いのパーティーなんかも増えます。
女性をエスコートすることによって有意義な情報も得られます。
ルルさんはそこできちんとお役に立っていただきますので、やはりきちんとした身嗜みでないといけません。
ドレスと普段のお洋服も見立てが必要です。
揃えさせてくださいね?」
「……っ、はい…!」
まあ、口実ですがね。
案の定振り替えると、良く言う、という顔をした陛下がいらした。
彼女が好きそうなドレスを数点、試着させてみると華が出た。
ショーウィンドウに飾ってあったワンピースをずっと目でおっているので、こっそり店員に言って着せさせた。
赤い薔薇のついた華やかだが普段にも使えそうな服だった。
彼女のラインにとても合っており、一瞬見とれる。
「綺麗ですよ、とても。」
「そ、そうですか?」
恥ずかしそうに鏡を見て、裾や袖を気にして見ている。
鎖骨につけた昨夜の華が見えて、彼女はハッとして慌てて髪で隠そうとしている。
「こちらもお願いします。」
「…!こ、これは私が……」
「はい、後で払ってください。」
耳元に口を近付け、鎖骨の痕を指でなぞりながら、
「また、夜に。」
と伝えた。
白い肌が桃色に染まるのを見て楽しんだ。
「よくやるよな、そういうことは。」
「可愛い子はいじめたくなるものですよ。」