第57章 【番外編】好敵手
「ほ、ほんとですか?」
「はい。きっと彼も喜ぶことでしょう。
ルルさんのお願いを聞いてあげたいという気持ちは充分に伝わりましたから。」
ジェイドさんはいつものように優雅に笑うと色っぽく紅茶に口をつけた。
「ルルさんの心が移り変わらないかとても心配なんですけれども。」
「私には、ジェイドさんしかいませんよ。」
とても大人の色気のある雰囲気でそんなことを言われて…ときめかない女性はきっといないだろう。
私は確信をもって思った。
「本当ですか?証拠はありますか?」
意地悪にそんなことを聞かれているのはわかっているのに、私はそっとジェイドさんの不意をついて頬に口付けた。
「…はい…。」
してから恥ずかしくてすぐに顔を反らした。
一回り以上も年上なのに、肌は私よりずっと綺麗なんじゃないだろうか…?
近くで見ると長いまつげが揺れて、本当に男の人か疑ってしまう。
「良くできました。」
と笑顔で言うと、唇を塞がれた。
柔らかな優しいキスに、私はそっと目を閉じた。
段々と激しくなるそれに必死に応える。
頭の奥がじんわりと痺れて、身体が熱くなってくる。
「ん、は……。」
「まだ、お仕事残っているんですか?」
「いえ…もう午後は…。」
ジェイドさんは軽々と私を持ち上げると寝室に移動した。
ふわふわのベッドが私の身を包む。
「あっ……でもその前に、メイド長さんに……」
「後で言えばいいですよ。」
「そんな…」
覆い被さってくる重たいコロンの香りがいつもより濃く感じる。
唇をゆっくりと舐められると、くすぐったくて身体を捩ってしまう。
どきどきと脈が早くなって、お腹がじゅくじゅくとしてくる。
「ルルさん、愛してますよ。」
ああ、こういう時に言うのは、ずるい。
ぼんやりとそんなことを思いながら、私は与えられる刺激を受け止めた。