第1章 1日目
「大丈夫ですか?」
うっすら目を開くと、全く知らない場所にいた。
「あの、ここは?」
「私の私室です。貴女だけでも助けられてよかった……。」
町が沈んでしまったことを教えられて、私はようやく最後に見たスープのことをうっすらと思い出した。
「他の方は残念ながら……。」
「あ、いえ、あの、ありがとうございます。」
「失礼ながら身元の確認と傷の手当だけはさせていただきました。ファーストネームしかわかりませんでしたが、ルルさんで、お間違いないですか?」
「はい。」
手をぎゅっと握って、真剣に私の方を向いてきた方は、紳士ながらに傷の手当などをしてくれたことを知って、少し気恥ずかしくなり、返事をしながら私は目をそらした。
「失礼致しました、私はジェイド・カーティスです。お好きにお呼びください。」
「は、はい。」
端麗な顔に微笑まれ、耳まで熱くなってしまい、真っ直ぐに彼の顔を見ることが出来なかった。
助けてもらってなんだけど、私はこの後、どうしたらいいのだろうか。
帰るところがなくなってしまった今、新しく暮らす町や職をまた探すことが出きるだろうか。
ぼんやりと、ここを出てからのことを考えていたら。
「1週間ほどですが、お休みを取れましたので、明日はお買い物に行きましょう。」
「え?」
「貴女がここで暮らす為の物を揃えましょう。」
「…え?」
「身元確認の結果、ルルさんは住み込みで家族もおらず、一人暮らしだったみたいだったので、勝手ではありますが、私が引き取りするということになりましたので。」
笑顔でさらっと何を仰っているのか……。
「い!いえいえ!助けていただいた挙げ句、そんなことまで!そこまでしていただかなくても大丈夫です!どこかでひっそりまた上手くやっていきますので!!」