第43章 ジェイドさんと旅行2日目
観光地として盛んなここの町のホテルは、とても大きくておしゃれだった。
一番上のとてもいいお部屋にしてくださったそうで、申し訳なくて頭が上がらなかった。
「ルルさんとの思い出を作るのは私の今の楽しみですから。
どうか見栄だけでも張らせてください。」
とありがたいお言葉をいただけた。
エレベーターに乗ると、子連れ家族や他のカップルが乗っていて、色々な人が来るんだなと思った。
やがて、二人になると、ジェイドさんはぎゅっと抱き締めてきた。
あまりの展開に頭がついていけず、到着するまでそのままにした。
最上階のお部屋から見る景色は凄く綺麗で、思わず見とれてしまう。
銀世界がどこまでも広がっていて、まるで違う世界のようだった。
「いい町ですよね。」
「暮らすとなると、それなりに大変なんですけれどね。」
「ジェイドさんは、ここで育ったのですか?」
「幼い頃ですけどね。」
静かに雪を見て、なんとなくここでジェイドさんが育ったのが想像できなかった。
今の彼からは想像出来ないくらいまるで別人だったとピオニー様から聞いたからかもしれない。
でも、その時代があったからこそ今のジェイドさんになったのなら、会ってみたかったかもしれない。
私はふと、旅立つ前にピオニー様に
「明後日アイツの誕生日だから、しっかり祝ってやれ!」
とこっそり耳打ちされたのを思い出した。
(昨日が楽しくて忘れてた…!)
旅立ち前日に慌ててプレゼントを買いに走ったのだった。
何が嬉しいのかよくわからず、うんうん唸りながら、ネクタイとお揃いの柄のハンカチを用意した。
「あ、あの……、いつもありがとうございます。
細やかなのですが、お誕生日プレゼント…です。」
ジェイドさんは一瞬凄くびっくりしたお顔をしてから、笑顔になった。
「…ルルさんが来てから、毎日お祝いみたいなのに……。
良いのですか?」
「貰って、下さい……。」
急に気恥ずかしくなって、ジェイドさんの顔を見れなくなる。