第41章 ジェイドさんと旅行1日目
そして当日を迎え、嬉々として船に乗った。
それは凄い豪華客船で、きっと前の町で住み込みで働いてた時のお給料を一生涯捧げても乗れそうになかった。
「明日の朝には着きますよ。」
と手を引いて部屋まで案内してくれた。
いつもの寝室より少し小さいベッドと、綺麗な装飾の施されたクローゼット、そして、大きな窓。
雑誌でしか見たことがない、ホテルのスイートルームみたいだった。
大きな窓から見える海の景色はとても綺麗で感動した。
「わぁ…!」
「船内は自由に行き来出来ますよ。
遊園地のようなところもあったので、行ってみましょう。」
「ゆうえんち?」
「遊ぶところですよ。」
螺旋階段を降りると、そこには、夢のような世界が広がっていた。
様々な乗り物がそこかしこにあって、可愛らしい動物に似せた物や、音機関車のようなものまであった。
真ん中には、吹き抜けになった船内を見渡せる大きな丸い乗り物があった。
「あれ、なんですか?」
「観覧車です。乗りましょうか?」
自動で動くガラス張りの箱にびくびくしながら、ジェイドさんに手を引かれて乗った。
ゆっくりと上がっていき、景色が遠くなっていく。
代わりに、ガラス張りに見える空が近くなってくる。
昼過ぎにお城を出たからか、少し暗くなった夕焼け空が見えた。
「すごい…。」
「観覧車の頂上でキスすると、一生その恋人同士は離れないと言われています。」
「…ほんとに?」
「試してみますか?」
「は、はい…。」
頂上がどこか私にはわからなかったけれど、ジェイドさんは優しく私の頬を両手で包んで、そっと口付けてくれた。